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シュトゥーダー刑事

ドイツ語圏推理小説の父とでも言えそうな、グラウザーのシュトゥーダー刑事シリーズ第1作である。前回読んだ『三老婦人の茶会』は、まとまりのない話だったので、「今回こそは……」と期待しながら読んだが、このたびも楽しめなかった。私とグラウザーの相性が悪いのか?

まず雰囲気が非常に暗い。そして舞台はスイスの田舎町なのだが、そこに出てくる登場人物が誰もかれもが意固地だったり、敵意に満ちていたり、頭が少し足りなかったり、とにかく読者として共感を抱けない人間が多過ぎる。
そして何かを互いに隠しあっている風な田舎の人間相手にシュトゥーダー刑事は四苦八苦するのだが、その捜査方法がとてものんびりしていてこれまた非常な違和感話を感じた。この方刑事のくせに、話をしたがらない人間には無理強いしないでそのまま放っておくのである。そして細かな情報を少しずつ集めていくのだが、その過程で不自然な偶然が頻発する。偶然に被害者の家族の1人を電車の中で見かけたり、偶然に居酒屋で別の1人を見かけたり、はたまた偶然容疑者の雇い主に知り合ったり、偶然犯罪に使用されたと思われる銃を見つけたり……。推理小説で偶然が頻発されると、それだけで減点である。
小説の設定そのものは悪くないと思うのだが。

森の中である行商人が、頭部を撃ちぬかれて死んでいるのが発見された。犯人として逮捕されたのは、行商人の娘と恋仲にあった前科のある若者である。しかしこの若者は、自分の無実を主張し自殺未遂までおかす。そこで彼の無実を確信したシュトゥーダー刑事は、捜査を始める。
すると、殺された行商人は借金の山を抱えており、彼の死は殺人に見せかけた保険金目当ての自殺であったかもしれないということがわかってきた。しかし謎は多く、関係者は口をつぐんだまま。それでもシュトゥーダー刑事は地道に捜査を続けていく。

田舎で事件の捜査が難航するという点においては、最近読んだドナ・レオンの『苦難の海』に舞台設定が似ているな。さらに両作品とも(私には)退屈だったという点と、それぞれの土地の雰囲気を小説に上手く反映させているという点も同じだ。
このシリーズでは本作品だけが日本語に訳されていないようだが、その理由はやはりこの作品の推理小説としての未熟さにあるのか、と何となく思ってみたり。しかしシュトゥーダー刑事ものでは、4作目の『中国人』の評判が非常にいいらしいのでまだ諦めないことにする。私はシリーズものを最初から順を追って読んでいくのが好きなのだが、もう飽き飽きしながら小説を読むのはイヤなので2作、3作目を飛び越えて『中国人』を読んでみるつもりである。

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原題: Wachtmeister Studer
著者: Friedrich Glauser (フリードリッヒ・グラウザー)
出版年: 1936

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(C) Hana 2003 ウィーン今昔物語