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イギリス人はおかしい

題を見た時、これまたリンボウ先生のイギリスシリーズだと思ったのだが、著者名が違っていたのでまずちょっと驚いた。そして表紙を見ると、タイトルの下に「日本人ハウスキーパーが見た階級社会の素顔」とある。ならば『家政婦は見た』のイギリス版かな……と思って本書を読んでみれば、果たしてその通りであった。ただ、『家政婦は見た』との違いは、内容がノンフィクションであること、主人公で著者の高尾さんという方が市川悦子とは違ってえらく勢いのいい口の立つテキパキした女性であるようだ、ということである。

あの『エイリアン』や『グラディエイター』などの映画を撮った英国人監督のリドリー・スコット氏の家に雇われていた著者が、スコット氏の家族事情やイギリス上流階級の生活ぶりについて色々暴露してくれる。女性週刊誌を読んでいるような気持ちで読み進められて、中々面白かった。まさに家政婦が見たイギリス上流家庭の内部事情がそのまま描かれているのである。
その他、斜陽国イギリスについての不平不満、サッチャー政権のダメぶり、イギリス上流階級の傲慢さ等々についてとくとくと語られる。そんなに腹を立てているのによくイギリスに住み続けていられることだと、私は感心してしまった。また、イギリスのダメぶりに対する日本の素晴らしさ、日本人の勤勉さなどがこれまた何度も語られる。著者が長年イギリスに住み続けたためかもしれないが、彼女の中で日本がやたらに美化されてしまっているようなのである。そういった意味で、本書ではかなり極端なイギリス観及び日本観が提示されているのだが、それゆえ内容がわかりやすく、日本人読者が共感しやすい形で書かれている。多分そこらへんが本書の人気の秘訣なのだろう。「日本のほうがイギリスより上なのね」という劣等感と裏返しの自負心(愛国心?)が満たされるのである。
ただ、著者の原動力である(らしい)イギリスに対する怒りと不満があまりにも強いので、最後のほうは辟易してしまった。勿論底流にはイギリスに対する愛情もあるのだろうが、その辛口ぶりに圧倒された。外国で女一人生き抜くというのは、かくも大変なことだということかもしれないが。

それから文庫本の後日談で、著者は最近の日本語に片仮名英語がやたら混じってきていることに憤っていたが、彼女自身も本文では時々あまり意味のない英単語を混ぜていた。どこだか忘れたが「インポータント」なんてそのまま書いてあったので違和感を感じ、後日談を読んでもう一度変な気分になった。

最後に、ネット上の書評では wad さんという方の書かれたものが一番わかりやすく、適切だったように思うので、そちらへリンクをしておく ⇒ http://www.ywad.com/books/968.html
[2004/05/15]

アマゾン.jp へ:イギリス人はおかしい(文春文庫単行本

原題: イギリス人はおかしい
著者: 高尾 慶子
出版年: 2001

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(C) Hana 2004 ウィーン今昔物語