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ウィーン怪奇譚

ハプスブルクと超常現象』と同じく怪しげな本。しかし幽霊・怪奇現象の類が大好きな私はこの手の誘惑に逆らえない。胸を躍らせながら読んでいった。……が、インチキ臭くてがっかり。

まず題に「ウィーン」とあるのだから、その歴史と伝統に相応しい有名人物の幽霊に多数登場いただけるのだろうと思っていたのが間違いのもと。(著者も前書きでそんなようなことを匂わせていたのに。)
自称霊感人間のいかがわしいこじつけ幽霊話がいくつも混じっていて辟易した。特に傑作だったのが、ウィーン在住のイギリス人女性の話。彼女は幽霊を感知できるそうで、どこぞの劇場の総監督を勤めていたロベルトという名前の幽霊と一緒に暮らしている。ある時イギリスの実家だか、元自宅だかにいったん帰ったのだが、そこにいた幽霊のウェンディが「自分をこんなに長いこと置き去りにして」とおかんむりだった。そこで彼女を一緒にウィーンに連れて来たのだが、今度は元いたロベルトのほうが怒ってしまい、3ヶ月ほど二人の幽霊はいがみ合って大騒ぎだったそうだ。……こんな話を大真面目に本に載せてしまうとは、よっぽどネタがなくて苦労したんだろうなと、本書の舞台裏を覗いた気にさせられるようなエピソードであった。

まあまあ面白かったのは、シェーンブルン宮殿のシシィの化粧室に現れるシシィと彼女の髪結いファニーの霊。観光客やガイドが二人の姿を見ることもままあるそうだ。目撃者多数ということからして、これは本当なのかも。
同じく歴史上の人物としては、ワルツ王ヨハン・シュトラウス(息子)の二人目の妻のリリーの霊についても書かれていた。彼女は自分の親ほども年の離れたヨハン・シュトラウスと結婚するのだが、彼の変人ぶりを嫌がり浮気してそのうち離婚してしまう。その彼女の霊が、ヨハン・シュトラウスの屋敷跡(現在のヨハン・シュトラウス小路の4番地)に立つマンションの一室に毎日毎日現れては、そこに住んでいた女性を悩ませる。だがある霊媒の協力で、リリーの霊も天国に行けたという話。
……しかしその幽霊が(そこに幽霊がいたと仮定して)、ヨハン・シュトラウスの後妻であった証拠がどこにもない。霊媒がそう主張しているだけで、それ以外には何の証拠も証言もないために、これまたいかがわしい話になってしまっていた。

その他、ウィーンには、死者とコンタクトを取ろうという団体がいくつかあるらしい。そのうちのひとつに、テープレコーダーを回したまま死者に質問をし、後で録音されたものの中に死者の声を聞き取るという試みをしている団体がある。その方法で未解決の殺人事件もいくつか解明されたという話だが、真偽のほどは不明。本当だったらすごいが。

本書の中にはいくつか面白い話もあったが、大抵は何かの勘違いだろうと思わせられるエピソードか、かなり漠然たる話で、読んでがっかり。またいくつかの話は(紙面をかせぐためであろう)やたらに内容が薄く、そこらへんにもネタの乏しさを感じさせられた。
私はこの本を図書館から借りて読んだのでいいが、わざわざ買っていたら呆然としてしまったかもしれない。これで(約)2,500円は高過ぎ。内容的にはせいぜい500円くらいの価値しかない。
[2004/06/29]

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原題: Spuk in Wien
著者: Christof Bieberger (ビーベルガー)他
出版年: 2004

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(C) Hana 2004 ウィーン今昔物語