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地下鉄シュテファン広場駅がいつもくっさい理由

毎度毎度、地下鉄のシュテファン広場駅の長いエスカレーターに乗ってU1ホームに降りて行くと生暖かくゲロ臭いニオイが下からムワーっと吹き上げてきて、思わず肺呼吸をエラ呼吸に切り替えたくなる。悪阻に悩む妊婦や二日酔いで胸をムカつかせているおじさんなら、もらいゲロしてしまうのではないかと心配になってくるほどのくささだ。

ウィーンに来たばかりの私は、誰かがホームでゲロをしたからこんなにくさいのだろうと推測していた。しかしそれにしてはホーム中どこもくさいし、いつ行ってもくさいいし、ゲロの痕跡もないのに(一応あちこちゲロのありかを探してみたのだ)、人間のゲロとは思えないほどしつこく何年も何年もにおうしで、最近になってようやく「何だか変かも……」と思い始めた。

そんな時、あるニュース番組と新聞がこのゲロくささの原因を追及し、駅の管理者であるウィーン交通にインタビューを行った。(つまりこれはニュースになってしまうほどのくささだということだ。)
そのインタビューによると、においの根源はやはり人ゲロではなかった。駅工事の際に(きっと緩衝材として)使用されたベントナイトという物質が、なぜか壁の中から染み出してきてゲロくささを辺りに発散させているというのだ。

(受け売り情報だが)元々このベントナイトは粘土から作られ、化粧品から猫砂から土木基礎工事用泥水から高分子ポリマーの添加剤にまで幅広く使われている。しかし新しいベントナイトは土の香りを漂わせ、ゲロくささなど微塵もないし、そもそも壁の後ろのベントナイトがとけて流れ出してくるようなことが「あり得ない」のだそうである。
その「あり得ない」不測の事態にウィーン交通はできる限りの対策を講じているが(具体的には空気の入れ替えに頑張っているらしい)、今のところ(とは、もう何年も)大きな改善も見られないそうだ。本音は「たかがゲロ臭ごときで駅の壁をひっぺがすような改修工事をする余裕はない!」というところか。というわけで、推定あと30年くらいは、シュテファン広場駅のU1ホームはくっさいままのようである。

しかし人のゲロ臭を肺に吸い込んでいるのではないとわかっただけでも収穫である。腐った粘土と人のゲロでは、においが同じでもイヤイヤ度が大きく違ってくる。これでシュテファン広場駅でU1に乗り換える時の不快感が少しは減ったような減らないような……。

参考:
Das Geheimnis des Gestanks im Untergrund / 2003.08.09 / Presse
ベントナイトについて

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(C) Hana 2003