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モーツアルトクーゲル (Mozartkugeln)

モーツアルトクーゲル まずモーツアルトクーゲルがなぜC級グルメなのかと言いますと、私が歯応えのないマジパンチョコレートを好きではないからです。従って私にとってはモーツアルトクーゲルも高級ならぬC級菓子でしかないので、ここに映えあるC級グルメの一菓子として、かいつまんでその歴史と製法、現状などについてまとめてみました。

今やオーストリア名物として世界的に有名なモーツアルトクーゲルですがその発祥の地はザルツブルクで、1890年に製造が開始されました。生みの親はパウル・フュルスト (Paul Fuerst) という菓子職人で、彼のカフェの新メニューとしてモーツアルトクーゲルが生まれたのです。6年間彼が試行錯誤を繰り返した後に作り出された新しいチョコレート菓子は瞬く間にザルツブルクの人気商品となりましたが、その秘密は多層構造チョコレートの独特の味わいにありました。

フュルストが編み出したモーツアルトクーゲルの製造方法は次のようなものでした。 丸めたピスタチオのマジパンの芯の上にヘーゼルナッツのヌガークリームを絡め、それに細い木串を刺したものを液状チョコレートにくぐらせてコーティングします。これを一晩置いて乾かし木串を引き抜いて、さらにその穴をチョコレートで埋めた(!)ものをフュルストは当初はモーツアルトボンボン、後にモーツアルトクーゲルとして売り出したのでした。1905年のパリ菓子博覧会でこのモーツアルトクーゲルは見事一等の座に輝き、以後オーストリア国内だけでなく世界中にこのチョコレート菓子の評判は広まって行きました。
チョコレートにひたしているところ 現在はモーツアルトクーゲルの創始者であるパウル・フュルストの曾孫のノーベルト・フュルストが家業を引き継ぎ、昔と変わらぬ製法でモーツアルトクーゲルの味を守り続けています。このオリジナル製品は手製のため年に30万個ほどしか製造されず、オーストリアではザルツブルクのフュルスト系列の三店でのみ購入が可能であります。(とは言え、ネット上でもチョコの注文を受け付けシステムが整っています。)

しかしフュルスト社はこのモーツアルトクーゲルに関し、製法においても名前においても特許を取りませんでした。そのため第二次世界大戦後は雨後の竹の子のようにモーツアルトクーゲルを真似したチョコ菓子が現れ始め、現在では様々な種類のモーツアルトクーゲルが市場に出回っています。
その中でトップの市場占有率(40%)を誇るのがバイエルンの菓子会社レーベル (Reber) で、二番手のザルツブルクのミラベル社に僅差をつけて首位の座を独走しています。このミラベル社はモーツアルトクーゲルの製法に新たな変更を加え、工場での大量生産を可能にしたことを謳い文句に、「当社のモーツアルトクーゲルこそが本物」であるとことあるごとに主張しています。(この『本物』の定義についてミラベル社は言及していないのですが、本家フュルスト社が『オリジナル』を名乗っているところと比較してみると何やら意味深でもあります。)

フュルスト社モーツアルトクーゲル どの社のモーツアルトクーゲルの包装紙にも似たり寄ったりのモーツアルトの肖像が使用されているため、事情を知らない一般人にはそれぞれのモーツアルトクーゲルの相違などわかりにくいかもしれません。ただ右の写真でわかるように、フュルスト社のモーツアルトクーゲルの包装紙だけは青と銀の色が特徴的だったりします。(その他の場合、は赤と金色が包装紙の基本色としてよく使われている感じがします。何か申し合わせでもあるのでしょうか。)
また上記の三社以外にもいくつもの製菓会社(例えばウィーンのユリウス・マインル社やチョコ菓子の老舗マンナー社など)が様々なモーツアルトクーゲルを生産し、しのぎを削っているのです。
皮肉なのは本家本元のフュルスト社よりも同名他社の製品が有名になってしまっていることです。何かここに盛者必衰の理のような寂しさを感じてしまうのは私だけでしょうか。おまけにフュルスト社はインターネットにおけるドメイン獲得にも乗り遅れたようで、www.mozartkugel.com というドメインは上記のレーベル社傘下のドレ―アー社 (Dreher) に、www.mozartkugel.at はミラベル社に抑えられてしまい、仕方なく(かどうかは知りませんが) www.original-mozartkugel.com を使用しているようです。
頑固に手製の手法にこだわり、後から参入した他社には生産量においても販売数においてもとっくに追い抜かれてしまっているフュルスト社ですが、是非細々とこれからも頑張っていってほしいものです。などと、フュルスト社のモーツアルトクーゲルはおろか、モーツアルトクーゲル全般にも何の思い入れもない私すら同社に声援を送りたくなってきてしまいました。ちなみにフュルスト社のサイトはこちらで、オリジナル製品販売店については地図付きでこちらに載っています。販売店はカフェも兼ねているようなので、暇な人はザルツブルク観光ついでに中に入ってみてもいいかもしれません。

注:モーツアルトクーゲルの製造過程の写真とフュルスト社のモーツアルトクーゲルの写真は、フュルスト社のサイトでマスコミ用にと提供されているものを小さく加工して使わせてもらいました。

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(C) Hana 2003 ウィーン今昔物語