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灰の水曜日 (Aschermittwoch)

この日には四旬節が始まり、復活祭まで40日間の断食が続く。灰の水曜日という名前は、この日に司祭が灰で信者の額または頭に十字の印をつけることによる。(これには前年の枝の主日に聖別された棕櫚の枝の灰が使用される。)灰は最終的には塵と終わる人間の儚さを思い起こさせるために使われる。しかし古くは灰が石鹸の代用品として洗浄に用いられてきたことから、浄化や再生(つまり人間の罪が贖われ、新たな力がもたらされる)といった肯定的な意味もこの儀式にこめられている。
棕櫚の木は古代から聖なる木として崇められ、勝利や力の象徴であった。イエスがエルサレムに足を踏み入れた際にも、人々は歓喜して棕櫚の枝を投げたという(マタイ福音書21章、8-9節)。その木が燃やされると共に、勝利の喜びや歓呼も消えてしまう。しかしそれによって、上述のように死が再生に繋がるという復活祭の意味が先取りされて表されてもいるのである。
この儀式は他にも転用され、新しい法王の着任ミサの際には一本の毛糸が燃やされる。これにもまた何より人の儚さを新任の法王に示すための儀式であるという。

灰の水曜日は贖罪の日としても知られ、信者はこの日袋地の粗末な服装 (sackleinenes Gewand) で教会に現れるのが常であった。そのため今日でも深く悔い改めることをドイツ語で “in Sack und Asche gehen (直訳:袋と灰の中に入る)”、“sich aufs Haupt streuen (額に振りかける)” などと言う。(英語では “repent in sackloth and ashes”。)

これらは全て四旬節の始まりとしての儀式であるが、既に述べたように灰の水曜日は謝肉祭四旬節に挟まれた境界日として曖昧な性格を持つ。そのため灰の水曜日は胡椒の日 “Pfeffertag” なる名前で呼ばれることもある。地方によってはこの日、木の枝などで作ったムチを持った子供たちがいたずらをしたり、朝寝坊をする者に胡椒をふりかけたりする。


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