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ミヒャエル教会 (Michaelerkirche)

ミヒャエル教会 名前からもわかるように、この教会は聖ミヒャエル (hl. Michael) の名のもとに建てられた教会である。この教会が現在立っている場所には1100年頃別の教会が立っていた。現在の教会は1252年(つまりバーベンベルク家のマルガレーテと結婚したモラヴィア辺境伯のオットカール二世の時代)に建設が開始される。
13世紀、14世紀のたび重なる火災の後、多角形の塔の下部分の内陣と現在『ニコラウスの礼拝堂』と呼ばれている南側の小内陣(教会内部の大祭壇の右側部分)とが建てられる。ここでは14世紀半ばまでに作られた石像やゴシック様式の美しい祭壇などが見られる。反対側に位置する北側の小内陣は1434年に建てられ、現在では『厩の礼拝堂』と呼ばれている。
また教会の左右の側廊部分にはそれぞれさらに三つの祭壇がこしらえてあり、様々な芸術品が飾ってある。ここではそれらの作品の題だけを挙げてみる。右側前から順に『マリアとヨアヒムと聖アンナ』、聖像『柱の上の聖母マリア』と『聖ブラジウス』、左側やはり前から順に『天使の合唱』、『聖テレジア』、『聖アントニウス』となっている。 その他主な芸術品は、正面大祭壇に飾ってある聖セバスティアンと聖ロッフスの彫像、その手前の凱旋アーチの左右にかけられた『聖霊降誕の奇跡』、『14救難聖人』などがある。。凱旋アーチの右側上部にかかっている『天使堕落』の絵は昔の大祭壇の絵である。現在の大祭壇の絵はマリア像で、『道を示す者』という題がついている。
ミヒャエル教会の塔と長堂の屋根は16世紀の大火災と地震の後に現在の形のものが作られる。また『天使堕落』の天使像を含む教会の正面玄関上部の張り出し部分は18世紀前半に制作され、教会正面そのものは18世紀終わり頃に古典主義様式で作られる。

ミヒャエル教会入り口上部 この教会には元々全部で四つの入り口があった。そのうちの一つは北西角にある『万世節祭壇』の後ろにあり、1988年から一般客もここの扉を観覧できるようになった。また北側翼廊にも1982年に初めて発見された一枚の扉があるが、この扉の前には十字祭壇が位置しているため残念ながら内部から扉を見ることはできない。これら二枚の扉はその昔隣接するミヒャエルハウス (Michaelerhaus) の中庭へと続いていた。
この教会は13世紀から18世紀までの間に建設されたため、部分部分によって建築様式がバラバラである。主なものを挙げてみると、上部に帯状装飾をほどこされた壁はロマネスク様式、内陣はゴシック様式、正面玄関張り出し部分バロック様式、そしてその下の扉を囲むようにして立っている神殿風の入り口は上述したように古典主義様式となっている。
この教会の地下納骨堂もなかなか興味深い。が、ガイドは英語とドイツ語でしか説明してくれない。しかも、ここではガイドの説明を理解する上で中級以上の語学力が必要と思われる。そこで英語(ドイツ語)に自信がなくてもこの納骨堂を見てみたいと思われる方のために私が簡単に納骨堂について説明しておこう。
まず教会が13世紀半ばに建設された頃は周辺に教会墓地があったため、亡骸はそこに埋葬されていた。しかし1510年に衛生上の理由から教会周辺に亡骸を埋葬することが禁じられると、教会は地下に納骨堂を作ってそこに棺を置くことにした。その後1783年にヨーゼフ二世がウィーン市内での埋葬を禁じるまで、この納骨堂には棺が納められ続ける。ここに埋葬された亡骸は全部で4000体にものぼると言われている。しかし納骨堂はほぼ教会と同じ面積しか有しておらず、実際4000体もの亡骸を保管しておくのは不可能である。そこで古くなった棺は順に壊されて焼かれ、中に入っていた遺体はそのまま納骨堂の地面に埋められていった。そのため納骨堂の地面は最初の頃より相当上に持ち上げられたそうで、その高さは1.5mとも4mとも言われている。(つまり納骨堂に入った時点で死体の上に立っているということになる。でも普通の地面と変わりないのでご心配なく。)
納骨堂の壁には通風孔があり、空気が常に換気されている。そのため空気が循環している場所にあった棺の遺体はミイラ化し(空気がよどんだ場所の遺体は骨になってしまう)、それぞれのミイラを見ることができる。妊婦や貴族のミイラなど色々あるが、どれも枯れていて(当たり前だが)これが昔は生きていて動いていたのかと思うと不思議な感じがする。いずれ自分もこうなるわけだが。(最後にガイドさんにチップを20シリングくらいあげると喜ばれる。)

場所:王宮裏手のミヒャエル広場 (Michaelerplatz) にある。また、教会としては例外的に観覧料金が必要。大人25シリング、子供・学生等10シリング。地下納骨所の観覧(ガイド付き)は大人40シリング、子供・学生等25シリング。ただし英語とドイツ語のガイドのみ。入り口は教会正面ではなく(ここから入ると途中に柵があって奥に進めない)、教会の右側の建物の入り口を入ってすぐ左にある。そこで観覧料金を払ってから内部を見るかたちになる。観覧時間は10時半から午後4時半まで。


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