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ホーアーマルクト (Hoher Markt)

ウィーン最古の広場がこのホーアーマルクトで、中世中期ウィーンの中心地でもあった。名前のホーアーとはドイツ語で『高い (hoch)』を意味するが、ここでは『主要な市場 (Hauptmarkt)』的意味で使われている。この広場ではローマ時代の将校の家跡も発掘されており(詳細は美術館情報ページローマ遺跡の項を参照)、ウィーンがまだヴィンドボナであった当時から存在していた広場であった。この場所は辺りで一番高い丘の上にあり、戦略的にも有利な地形であったためにローマ人はこの地を宿営地に選んだらしい。また167年にはローマ皇帝マルクス・アウレリウス自らこの地を訪れたという。そのためかどうか、ホーアーマルクト広場から北東に伸びている通りには、皇帝に因んでマーク・アウレル通り (Marc-Aurel-Strasse) という名がついている。
中世に入ってからもこの地はドナウ運河を利用した遠隔貿易の中心地としてさらに発展していった。だが残念ながら第二次世界大戦中にこの広場は大きく破壊されてしまい、その際に以前の町並みや雰囲気はほとんど失われてしまった。現在ここで目にすることのできる歴史的モニュメントは上述したローマ遺跡と下記のアンカー時計、婚姻の泉くらいしかない。

アンカーホフとアンカー時計

アンカー時計 1912年から1914年にかけてアンカー保険会社のために建てられたのがこのアンカーホフ (Ankerhof) である。アンカーホフはホーアーマルクトの10-11番地と12番地にバウエルン市場 (Bauernmarkt) という小路を隔てて立っており、この二棟の建物は小路の上に架けられている空中回廊でつながっている。そしてこの回廊に設置してある時計がウィーンの有名な仕掛け時計アンカー時計である。
これはフォン・マッチュ (Franz von Matsch) の設計に基づいて1913年に制作された。この時計が時報を告げるごとにウィーンと関係の深い歴史的人物を模した人形が現れ、それぞれ異なる音楽が鳴る仕組みとなっている。この人形たちは12時間で一周し、正午の12時には全ての人形たちによるパレードが見られる。アンカー時計のコンセプトは、『おごる平家は久しからず』的な世の儚さを人に思い起こさせ、ひいては不確実な世の中に保険会社の必要性をそこはかとなく知らしめるということであったようだが、この時計を見てそこまで考える人間が果たしているのだろうか?
空中回廊の底部分 時計の中に収められている人形は順にローマ皇帝マルクス・アウレリウス 、カール大帝、レオポルド六世、中世オーストリアを代表する宮廷詩人ヴァルター・フォン・デア・フォーゲルヴァイデ、ハプスブルク家のルドルフ一世とその妻ゲルトルード=アンナ、シュテファン寺院建設にも携わった著名な建築家プクスバウム、マキシミリアン一世、17世紀のウィーン市長リーベンベルク、シュターレンベルク伯爵、オイゲン公、マリア=テレジアとその夫のロートリンゲン公、ウィーンに住んでいたこともある偉大な音楽家ヨーゼフ・ハイドンである。さらにこの仕掛け時計では毎時間ごとに音楽が鳴る仕組みになっている。これは元々機械仕掛けであったのだが、戦時中にオルゴール部分が破壊されてしまったため、現在はそれぞれの音楽をスピーカーで流している。
時計の背景中央には双頭の鷲と十字をあしらったウィーン市民の旗が置かれ、その周囲を取り囲む12のシンボルは様々な職業や日常生活での仕事を象徴している。さらに時計上部の左右に立つ像は幼児が生を、老人が死を意味している。また正面からは見えないが、左の写真でわかるように空中廊下の底の部分に四体のスフィンクスと地球の浮き彫りがほどこしてあり、さらに四隅にはアダムとエヴァ、天使と悪魔の顔も据え付けられている。
上に書いた通り、この時計が大きな動きを示すのは正午の12時だけで、あとは正時ごとに音楽が鳴るだけである。カメラを片手に何か起こるかと待ち構えている観光客がアンカー時計の前にはいつも沢山いるのだが、大抵肩透かしを食らっている。



婚姻の泉 (Vermaehlungsbrunnen)

スペイン継承戦争(1701−1714)中にハプスブルク家のレオポルド一世はイエスの養父聖ヨーゼフを称え、聖人と同名の息子ヨーゼフ一世が戦に勝利して無事に帰還することを願ってこの泉を制作させた。1706年に宮廷建築家フィッシャー・フォン・エアラッハの設計に基づきまずは木製の記念碑が立てられた。さらにヨーゼフ一世が戦に勝ちウィーンへの帰還を果たすと、1729年から1732年にかけて多少変更を加えられた設計に基づき大理石造りの婚姻の泉が制作された。
コリント様式の柱に支えられたブロンズの天蓋の上には黄金の三位一体像が置かれている。その下にはちょうど婚姻を結んでいるマリアとヨーゼフと大司祭の像が立ち、さらにこれらの像を四体の天使像が囲んでいる。


婚姻の泉

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